藍の所在


何故人を殺してはいけないのだろうか
何故あの人は死ななければならなかったのだろうか

死んでもいい人間はいるのだろうか
殺してもいい人間はいるのだろうか

PL事前情報

このシナリオは『クトゥルフ神話TRPG(第6版)』に対応したシナリオである。
このシナリオの舞台は現代日本を想定している。季節は特に指定しない。
シナリオには独自設定が含まれている。戦闘はなく、神話生物はでてこない。少し癖のあるシナリオとなっている。


・推奨人数:1名
・プレイ時間:4時間程度(ボイスセッション)

・推奨職業:特になし
・推奨技能:〈目星〉〈図書館〉
本シナリオの題材的に、探索者は倫理観を持った者であることを推奨する。


導入の前に、ワンクッション・前日譚のようなものがある。
事前情報とは違う方向から、突然車で轢かれるような部分もあるシナリオだ。



シナリオ冒頭概要


探索者の友人(あるいは幼馴染)、井上伊織は落ち込んでいる。
最近、彼の姉・井上沙織が死んだ、いや、殺されたのだった。

伊織は、姉のことをそこまで好きではなかった。他者に対して当たりの強い性格をしていた。
だけれど、死んでほしいとまでは思っていなかった。
伊織は探索者に、どうして姉が死ななければならなかったのかを知りたいと、涙ながらに言葉を零す。
共に警察署に行って、被疑者との面会を掛け合ってほしいと頼み込まれた探索者は、伊織とともに警察署に向かうことになる。




以降、シナリオのネタバレが含まれます。








1.はじめに

このシナリオは『クトゥルフ神話TRPG(第6版)』に対応したシナリオである。
このシナリオの舞台は現代日本を想定している。季節は特に指定しない。
シナリオには独自設定が含まれている。戦闘はなく、神話生物はでてこない。少し癖のあるシナリオとなっている。


[今回のシナリオ傾向]
・推奨人数:1名
・プレイ時間:4時間程度(ボイスセッション)
・本文:

・推奨職業:特になし
・推奨技能:〈目星〉〈図書館〉
本シナリオの題材的に、探索者は倫理観を持った者であることを推奨する。


導入の前に、ワンクッション・前日譚のようなものがあることをPLに伝えておくことを勧める。
事前情報とは違う方向から、突然車で轢かれるような部分もあるシナリオだ。

組み合わせロールを試みるように記述している箇所や、調査時の技能をしている箇所があるが、KP裁量で変更を加えてもらって構わない。
そのほか、足りないと思った箇所は付け足し、要らないと思った箇所は削って、遊びやすいように手を加えてもらいたい。


シナリオ冒頭概要


探索者の友人(あるいは幼馴染)、井上伊織は落ち込んでいる。
最近、彼の姉・井上沙織が死んだ、いや、殺されたのだった。

伊織は、姉のことをそこまで好きではなかった。きつい性格をしていた。
だけれど、死んでほしいとまでは思っていなかった。
伊織は探索者に、どうして姉が死ななければならなかったのかを知りたいと、涙ながらに言葉を零す。
共に警察署に行って、被疑者との面会を掛け合ってほしいと頼み込まれた探索者は、伊織とともに警察署に向かうことになる。




以降、KP向けシナリオ情報。









2.KP向け情報

・あらすじ
NPC【井上伊織】が探索者の目の前で交通事故に遭う。
死亡したと思われた伊織は翌日、五体満足で探索者の前に現れた。彼(あるいは彼女)は、一度死亡したのち、魔術的な蘇生措置を施されていたのだ。 しかし、それは不完全なものであり、仮初の命を与えられただけの伊織は、72時間後に死ぬ運命にあった。

そんな時、探索者は伊織の祖父の家で『藍の丸薬』に関する記述を見つける。 これは、「死の淵を彷徨う者に生を与える」という効果のあるもので、これを使用すれば伊織に迫る死も回避ができるようだった。
「藍の丸薬」の製作には、「人魚の涙」を飲んだ者を「スクモの刃」で刺す必要がある。「スクモの刃」で心臓を刺された者が怪我を負うことはないが、このナイフを使用し誰か(人間)の心臓を刺した者は即座に死亡するらしい。また、「人魚の涙」を飲んだ者も、1時間後に死亡するという。
伊織は探索者に選択を委ねた。

このシナリオは、井上伊織の処遇を決定することでエンディングを迎える。


・進行について

簡易時系列

前日譚   警察署訪問
    沙織の遺品整理
伊織が交通事故に遭う
 
探索1日目   病院探索
 
探索2日目   伊織の祖父の家探索
     
探索3日目   面会日
    24:00 タイムリミット

これは想定スケジュールであり、変更いただいてよい。
伊織と仲良く(導入)→事故の真実を認識・伊織の状態を探る→伊織の延命方法を探る、という順でのシナリオ進行を想定している。






▲上に

3.主要NPC

井上伊織(いのうえ・いおり) ―― 仮初の命を持つもの
ステータスは明確に定めない。KPの裁量にお任せする。

性別はPLや探索者の好みに合わせる。
探索者との関係は、長い付き合いのある幼馴染だとか、気の合う友人だとか。適当なものをKPが決める。

どうしてこいつが死ななければならなかったんだ、と思ってしまうような人柄にしよう。(提案)
人のいい・人好きする性格にしておくのがいい。

そして、日常の中でごく当たり前に起きる「理不尽な死」を演出する。
※シナリオ中の描写・台詞の記載は、作者が伊織を二十代男性で設定した際のものになっている。


井上沙織(いのうえ・さおり) ―― 伊織の姉
井上伊織の姉。探索者との交友は無いか、あるにしても浅い。
他人に不満や文句ばかり言う人。他人に色々求める前に、自分の行動見直そうね、というような性格をしている。
周囲の人間にあまり好かれていない。


小林樹里(こばやし・じゅり) ―― 殺人犯
井上沙織の同僚。沙織を殺害した。
罪の意識が欠け落ちている。


井上聡(いのうえ・さとる) ―― 伊織の父
大きな病院・井上医院の院長。沙織の死にひどく動揺し、伊織まで失うことを恐れている。


井上タエ子(いのうえ・たえこ) ―― 伊織の祖母
故人。謎が多い人。


井上剛史(いのうえ・つよし) ―― 伊織の祖父
父方の祖父。数年前に心臓病で倒れたが、奇跡的な快復を見せた。






▲上に









4.前日譚

探索者は井上伊織に同伴し、警察署に向かう。


某月某日。晴れ空のもと、貴方は井上伊織と共に警察署へと向かっていた。

このところ貴方の友人(あるいは幼馴染)、井上伊織が落ち込んでいたのは、貴方の知るところだろう。今も貴方の隣をとぼとぼと所在なさげに歩いている。
それもそのはず。伊織の姉、沙織は最近亡くなったのだ。他ならぬ殺人事件に遭って。

貴方がここにいるのは、伊織に共に警察署に行くことを頼み込まれたためだ。
姉が殺された理由を知るために、被疑者との面会を掛け合ってほしいのだという。


・井上伊織 台詞例
「今日はありがとな、着いてきてくれて」
「……姉貴はさ、そりゃ、キッツい性格してたし、良い人だったかって言われると、ちょっと考えちゃうし、正直そこまで好きじゃなかったけどさ」
「死んでほしかったわけじゃないんだよ……」

「姉貴、就職して家を出てから、実家の方には寄り付かなくてさ。たまーに爺ちゃんちには顔出してたらしいんだけど。俺、長らく会ってなかったんだ」
「だからなのかな」
「もやもやして、腑に落ちないっていうか、落ち着かないっていうか。まだ信じられない……」

「父さんも母さんも、姉貴の件で裁判があるからってあれこれ忙しくしてて、その癖俺には手伝わせてくれないし」
「だから俺は、俺自身を納得させてやりたくて……」

「付き合わせてごめんな。でも、正直心強い」
「ありがとな」


探索者は、伊織の姉が殺された事件に関して、ある程度のことを知っている。
どの程度知っているか、判定を交えながら情報を提示する。

伊織との会話の中で、伊織の口から情報提供してもよいだろう。
伊織はニュースや新聞などで報道されている程度の内容なら把握している。




・井上沙織の死

新聞、ニュースでも報道された。週刊誌、ゴシップの類は好き勝手に連ねている

・事件概要
某月某日、××県××市にあるウィークリーマンションで井上沙織は小林樹里に殺害された。
死因は首が締められたことによる窒息死。
樹里は、会社の飲み会で泥酔中の沙織に睡眠薬を飲ませ、意識のない彼女の首を細い革のベルトで絞め殺害した。
殺害後、間もなく被疑者である樹里は警察に自首し、逮捕された。現在その身柄は警察署内留置所に勾留されている。
沙織と樹里の関係は、仕事場の同僚。


〈アイデア〉成功で、どこかで聞いた気のする以下の情報を思い出す。
〈図書館〉成功で、ネットで調べて情報を得たという処理にしてもいい。

・事件概要 追加情報
殺人の動機に関して、被疑者の回答は「人を殺してはいけない理由を知りたかったから」
被疑者は、この件に関して罪の意識がない様子を見せている。怨恨の線は、警察の取り調べからも否定されている。
現在、警察の一次捜査が進められており、検察による調査・起訴の準備が進められている。


探索者がオカルティックな事件を疑った場合、現在持っている情報に対して〈オカルト〉を試みることができる。
技能ロールに成功した場合、ごく普通の刑事事件であり、どこも変わったところがないと分かる。
そのほか、この事件に関連して、オカルティックな噂がないか調べる場合は〈図書館〉と〈オカルト〉の組み合わせロールを試みることができる。

〈図書館〉+〈オカルト〉成功
世の中にはごくありふれた、しかし当事者にはむごい殺人事件だった、というような印象を受ける情報しか出てこない。オカルトの関わる気配はどこにもなかった。


ゴシップ誌では特に、当事者に配慮のない、読者の興味を引くものならなんでも書いてやれ、とでもいうような調子で、被疑者の異常性を書き連ねている。
樹里を知る者に対して聞き込みをした場合にも、似たような内容が聞ける。

・小林樹里
この度の事件に対し、極度に罪の意識がない。他人を殺すこと、他人が死ぬことに対し、生物が持っていて当然と思われる忌避感がない。
ただ、彼女が加虐趣味であるとか、暴力的な性格をしているというわけではなく、周囲の人間にしてみれば異常な行動が、当人の中では極純粋に論理立っているということらしい。社会性を持つ生き物としては忌避すべき行動を、平然ととってしまえるひとなのだ。
他人の情緒を理解することができない、根本的に考え方がずれているという印象を受けるだろう。

この事件に対し、被疑者を知る周りの人間の反応は、「そういう素質があったひとだよねー」「いつか殺すと思ってた」というもの。彼女のこの考え方は、急にこうなったというわけではなく、昔からのものだったらしい。

・補足
誰かのために幸せを祈れるような。穏やかを願うような。そんないおりんにしよう。
NPCとの友好が深められれば、前日譚は何でもよい。




・警察署

伊織と探索者は警察署を訪れる。
伊織はこの事件の担当警察官に被疑者との面会を頼み込むが、担当警察官は接見禁止中であるとして許可しない。


受付で事件の担当警察官に連絡を入れ、担当警察官と会うことになる。
担当警察官は、署内の一室へとあなた達を案内する。机が一つに椅子が数脚。
ごく一般的な会議室のような様相だ。

担当警察官は貴方たちを席へ促し、自身も席に座った。
貴方たちに警察手帳を見せ、それを机の上に置くと、伊織の用件に耳を傾ける。


被疑者は現在、当警察署内留置所に勾留中、取り調べを受けている。接見禁止、面会不可の状態である。
そこをなんとか、と伊織はこの事件の担当警察官に頼み込むが、全く取り合ってくれる様子がない。
接見禁止が外れないことには面会のしようもない、の一点張りだ。

接見禁止の解除には、裁判所に抗告の申し立てを行ったり、裁判官に一部解除の申し立てを求めるという方法もあるが、法律や手続き知識のない人間が個人で行うのは、あまり現実的ではないだろうと警察官は述べる。
曰く、犯行の証拠や当人の自供もあり、検察側の起訴準備は順調に進んでいるため、接見禁止はほど経たず外れる見込みだという。もうしばらく辛抱して、月日の流れるのを待つようにと警察官は言うだろう。

「うちの署も、井上医院さんにはお世話になってます。上からは重々言われてますよ。捜査はきっちりさせていただきますから、安心してください」

探索者は「井上医院」と聞き、この近辺にある伊織の父親が院長を務める病院の存在を思い出すことができる。




以下の情報は、資料を盗み見る、警察官が口を滑らせる等して適宜提供。
(情報漏洩!)
(後に警察官が離席するタイミングがあるため、そのタイミングで提供してもよい。)


・事件の詳細
樹里一人での犯行。被疑者、被害者以外の人間がいたという痕跡はない。
目撃者もいない。

・睡眠薬について
使用したものは海外から輸入した睡眠薬。ネットの通販で取り寄せた。
一般の市販はされていないが、海外ではそこそこメジャーな睡眠薬。特別変わったものというわけでもなく、日本でもそれなりに知られている種類。
今回のために取り寄せたようで、樹里が病院に通院している様子はない。


・樹里と沙織の関係
同僚。それ以上でもそれ以下でもない。
仲は良くも悪くもなく。そもそも接点が、同じ職場ということくらいしかない。




ひと段落したところで、警察官は急用に呼び出され、席を外す。
その場に残された警察手帳とボイスレコーダーを伊織は確認しようとする。
しばらくすると、ノックの音がして、担当警察官が呼び出される。緊急の用件らしい。
担当警察官は、貴方たちにこの場で待つよう告げ、席を外す。

警察官の戻りを待つ探索者には、伊織の視線が一か所に釘付けになっているのが分かる。
視線の先には警察手帳がある。


「これを逃したら、一生分からないかもしれない」

探索者の制止も聞かず、伊織は手帳を見ようとする。
手帳を持ち上げた際、その下に小型のボイスレコーダーが置かれているのも発見するだろう。
ボイスレコーダーは現在、電源が入っていないようだ。


・警察手帳
被疑者は捜査に協力的であること、殺人事件に関して計画能力が認められることがメモ書きされている。
また、本件は刑事事件として立件・起訴される見込みであり、有罪判決が見込まれる……という警察官の推測も書かれている。


・ボイスレコーダー
伊織はボイスレコーダーを起動し、10分程度の録音データが1件あるのを確認しては、イヤホンを刺し、その録音データを聴き始める。
探索者が希望するならイヤホンの片方を借り、音声を聴くことができる。後から伊織に音声内容を訊くこともできる。


・録音データ
警察による小林樹里取り調べの際の音声が録音されたデータ。
取り調べの一部を切り出したもののようだ。

小林樹里の動機
「何故人を殺してはいけないのか、その理由がわからなかった」
「実際に罪を犯してみれば分かるかと思った」
「人を殺してはいけない理由については、今も分からない」

言葉を続ける樹里
「法で定められているから、人を殺してはいけないというのは分かる」
「だが、その法は他ならない、人が定めたものだろう」
「何故定めたのか、それが分からない。ずっとそればかり考えている」
「人が生きる行為に罪を見出すとすればそれは、罪を定義した人間側の問題だ」

「仮に人を殺すことが合法とされたとして、人を殺したいと思わなければ、誰かを殺すということにはならないのではないか」
「もし、人を殺すことが許されざることならば、何故、そのような『許されざること』が実際にまかり通っている? 何故、人を殺した私は平気でいられる?」
「分からない分からない分からない分からない分からない分からない」

何故沙織を殺したのか
「彼女は周りの人にあまり好かれていなかったから」
「どうせ死ぬならそういった人間の方がいいと思った」


・音声データを聞き終えた伊織
そんな理由で、と伊織は絶句する。

「こいつ頭おかしいだろ」
「理由なんてなくったって、人を殺しちゃ駄目だろ」
「殺したら、死ぬじゃん…なんていうか、上手く言えないけど…」
「でも、俺、誰かが殺すのも、殺されるのも、死ぬのも嫌だぜ」
「そういうものじゃないのかよ」


録音データを聴き終わり、元の位置に戻したあたりで警察官が戻ってくる。

警察官は待たせたことを謝ったうえで、本日はこれ以上応対できないことを告げる。
伊織の被疑者面会希望については、被疑者側の担当弁護士がいるため、そちらに連絡を取るように勧め、連絡先を教えてくれる。被害者遺族だということで、伊織の方にも弁護士をつけた方がよいのでは、という提案も行われるだろう。

伊織は納得のいかない様子だったが、渋々警察署を後にする。
両親と共に裁判の準備を取り進めてくれている弁護士(椛原)がいるはずなので、そちらに相談してみるらしい。


面会交渉を行う場合
・被疑者の担当弁護士に連絡し〈説得〉〈信用〉
・被害者遺族側の弁護士(椛原)を介して依頼(技能不要)


探索者たちは帰路につくことになる。
月日は流れ、接見禁止も外れて面会の予定が組まれる。
面会の前に遺品整理を行うということで、探索者はその遺品整理の手伝いを頼まれる。
貴方たちはそうして帰路についた。
間もなくして、捜査を引き継ぐとともに検察が起訴し、刑事裁判が始まったことを知るだろう。
被告人の弁護士は、事件当時の樹里が善悪の区別のつかない心神喪失状態にあったとして、それを理由に無罪を主張したが、
検察側の提出した証拠により、それが認められることはなく、犯人・小林樹里には有罪判決が下った。


その頃には、貴方たちが警察署を訪ねてから、3か月ほどが経っていた。
伊織の、小林樹里との面会は未だ果たされていない。接見禁止はとっくに外れていたが、裁判の関係上なかなか都合が付かなかったのだという。

しかし、それも終わりだ。貴方は伊織から、ついに面会できるようになったと報告を受けるだろう。
小林樹里の身柄は、拘置所へと移されたらしい。
相手の弁護士を介して諸々の手配は済んでおり、近々面会が果たせるよう、日程を調整中らしい。

「まあ……あの音声を聴いた後じゃ、話して納得できるかってのには自信ないけど」
「けじめがつけばスッキリするかもしれないし、姉貴が殺される理由って、本当にそれだけだったのかって知りたいからさ」


それから、伊織は面会の日取りが決まれば、その前に遺品整理に姉の部屋へ向かうつもりであることを告げる。
探索者にも遺品整理の手伝いを依頼する。

「面会の日取りが決まったら、その前に姉貴の住んでたマンションに行くつもりなんだ」
「ずっとバタバタしてたから、部屋の解約とかも間に合ってなくて、荷物もそのままらしいんだ。その片付け。遺品整理ってやつだな」

「そうだ。よかったらその片付け、手伝ってくれないか」
「段ボールに詰めるだけだし、使えそうなものがあったら、持って行っていいからさ」


ほど経たず面会の日取りが決まった連絡が届く。
遺品整理の日取りも決まった。探索者の予定がちょうど空いている、面会の3日前の日付だ。




・遺品の整理

探索者と伊織は、遺品整理に沙織の生前使用していた部屋へ訪れる。
訪れたのは、ワンルームマンションの一室。
姉の部屋で、伊織は沙織の遺品整理をする。

床に落ちているストラップに、伊織は懐かしいものを見たとでもいうような顔で「これ姉貴にとられたストラップだー」とこぼす。思い出の品だったらしい。
ストラップは余り大切にされていた様子でなく、無造作に放置されていた。

「いなくなっちゃったんだなあ。姉貴」


遺品整理を手伝っていた探索者は、沙織の日記をみつける。

最後の日付は、沙織が高校卒業時のもの。
(沙織は高校を卒業してすぐに就職している)

・沙織の日記
伊織ばっかり可愛がられてる。
伊織がやりたいことをやるために、私は自分の夢を諦めなくちゃいけない
親の言いなりにならなきゃいけない

昔から私は犠牲になってばっかりだった
憎くて仕方ない。伊織なんて死んでしまえばいい

こんなこと考えてしまう自分が嫌、私こそ死んでしまえばいいのに
こんな風に考えちゃうから誰にも好かれないんだ
わかってるけど無理だよ、変えられないよ、つらいよ

嫌いな私を大事にしてしまう
報われないのは怖い、何もできないのは怖い
もっと私はできるはずだって思いたいのに
無価値を突きつけられたくない

こんな気持ちになりたくない
もう、何も考えたくない

そんな、沙織の割り切れないお悩み感溢れる記述があった。


伊織は日記の内容を知ると、どうして姉の苦しみを気付いてあげられなかったんだろうと嘆く。
「俺は姉貴とは、そんなに仲良くなかったよ。姉貴、性格わりぃし」
「でも、こんな悩みを抱えてるって、俺のせいだって、それが分かってたら、もっとやりようがあったかもしれないのに……」

もう遅いよ、と伊織は小さく呟く。
伊織は探索者が励ませば笑顔になり、責めれば落ち込む。

※補足
伊織は、自分が親に自分ばかり可愛がられているという自覚はなく、姉が親に当たり散らすため、親も相応の態度で伊織や沙織に相対しているのだと考えていた。親側の見解も、実際伊織の認識通りである。
沙織は医大への進学を希望していたが、彼女の学力では現実的ではなかったため、親たちは就職を勧めたというのが真実。伊織の存在は関係ない。圧倒的に会話不足な被害妄想であった。






▲上に









5.導入

探索者と伊織は帰路につく。その際、伊織が交通事故に遭う。
沙織の住んでいたマンションを後にする頃には、街はすっかりオレンジ色に染まっていた。
夕日に照らされる中、貴方たち二人の影法師が並んでいる。

その時。
交差点に差し掛かった時、けたたましいクラクションが辺り一帯に鳴り響く。
大きなトラックが、探索者目掛けて突っ込んでくる。

探索者の名を叫ぶ、伊織の声。探索者は強い力に押され、アスファルトに転倒する。
そして――
どすん、と重みのある音がして、目の前で鮮やかな赤が舞った。

きゅるきゅる、きゅるきゅるとタイヤの回る音がする。それは赤色を引き摺って、十数メートルほど離れたところで止まった。
目の前で轢かれる友人。その凄惨な死を目撃した探索者は
▶ 正気度喪失 1/1d6


くらり、と眩暈がする。気分が悪い。
探索者はその場で意識を失うことだろう。






目覚めれば、探索者は自室のベッドにいる。
長く寝ていたような感覚がする。日付を見れば、翌日の朝になっている。



※補足
平穏な、あの事故を夢と錯覚させるような、そんな演出をするといい。なんだー夢落ちかー。
ただし翌朝会った伊織の身体にはタイヤ痕がある。PLには混乱してもらおう。

・探索者を家に運んだのは誰?
探索者の友人や知人。警察に連絡されて、探索者の身柄を引き取り善意で運んだ。その人は事情をよく分かっていない。きっと、探索者は泥酔して寝てたとか思われてる。
(探索者に対して、事件の事情聴取は行われなかった。他に目撃者がいたこと・警察への圧力があったことが要因)






▲上に

6.探索

例の事故について

ネットか新聞を対象に〈図書館〉成功で、すぐさま事故の記述を見つける。
〈図書館〉を試みず(あるいは〈図書館〉失敗後)新聞を端から端まで読む場合は、〈母国語〉成功の上30分かけることで、〈図書館〉に成功した際と同様の情報を得る。

・事故について
ちいさく短い記事。時刻・場所共に探索者の記憶の通りのもの。轢かれた人物の名前は明かされておらず、病院に搬送されて以降の続報もない。生きているとも死んでいるとも書かれていない。

探索者がこの件の情報通にあたろうとした場合は、ゴシップ誌の記者などが候補に挙げられるだろう。
事件現場の近くで〈幸運〉成功で、目撃者に出会えることにしてもいい。

・ゴシップ誌の記者
事故を引き起こした大型トラックの運転手はスピード違反の常習犯であり、以前からよく注意を受けていたらしい。
記者は、被害者の話となったところで言い淀む。

〈言いくるめ〉〈説得〉〈信用〉成功
ここだけの話だが、この事故については報道に圧力がかかっている。
被害者の家族がどうやら、警察や報道組織の上層部に影響力を持つ大物政治家とコネを持つ人物のようで、ことを大きくしないことを望んだらしい。
そのため、このゴシップ記者も被害者の名を知らないのである。


・目撃者
「どなたか知らないけどお気の毒よね」
事故に遭った人間は重症に見えたこと、事故の瞬間を側で見ていた人間(探索者)が気絶するほど、被害者は悲惨な状態であったことが語られる。
伊織の写真などを見せれば、事故の被害者と特徴が一致しているという話が聞ける。





▲上に

・井上伊織

探索者から伊織に接触するようであればそれに任せ、その様子がなければ伊織の方からメールで連絡を入れること。内容は、昨日の遺品整理同行を感謝するもの。


井上伊織

顔色の悪さが目立つ。土気色の肌に、血が通っていないかのような白い腕。服の隙間から覗くタイヤの跡が痛々しい。
昨日の出来事に関して、記憶の混乱は見られない。ただ、事故に遭ったあとの記憶がないらしい。

「トラックが迫ってきた後必死で、何があったか覚えてないんだ」
「起きたら自宅でさ。まあ、大した怪我もしてなかったし」
「一日も経たずに動けるようになってよかったよ。血が出るようなことにはならなかったみたいだ」
「あの時は轢かれるとおもってたけど、案外かすっただけだったのかもな」
「応急処置は父さんがしてくれたんだってさ」

探索者は知っている。事故に遭った伊織は、血まみれだったことを。
あれは、一日も経たずに動けるようになる程度の怪我ではなかった。

ありえない事象を目の当たりにした探索者は
▶ 正気度喪失 0/1d2


その身体に触れて、体調を確かめるなどする
息をしていない、脈がない。心臓は動いていない。体温が異様に低い。

〈医学〉成功
死人だこれ!

伊織が死んでいるという事実を認識した探索者は
▶ 正気度喪失 1/1d3


「母さん、疲れてるのか知らないけど様子が変で。俺は死んだはずだなんていうんだよ」
「姉貴のこともあって、家の空気がギスギスしてるんだ。今日はじいちゃん家に泊まろうと思ってる」

訊けば、伊織は祖父の家の住所を教えてくれる。

※補足
伊織は肉体が治りきっていないので、食事がうまくできない・味覚がおかしい、痛覚がないなど、生活に支障をきたしている。



伊織の母

伊織の家にいる。虚ろな目をしており、やつれた様子で、今は何も話したくないと言う。

〈言いくるめ〉〈精神分析〉〈説得〉〈信用〉など
昨日、病院で一度伊織の死を看取った。その後、主人が伊織と共に手術室に籠り、日付の変わる前には今の伊織を連れ帰ってきたという。
死人が生き返るはずはないから、あれは伊織のふりをして私を騙そうとしている化け物なのだと彼女は言う。妄想に取り憑かれている様子である。


※備考
伊織の父は現在、病院(井上医院)にいる。






▲上に

・井上医院

・井上医院について
個人経営の病院ながら、かなりの規模を誇る。


病院の受付(事務窓口)

外来受け付け口と、予約の人の受付口、事務窓口がある。探索者の用向き的には、事務窓口が適切だろう。

・事務窓口で、院長に用があることを話す
昨日は長く集中治療室に籠っていたらしく、現在は仮眠中とのこと。
起きたら院長に来客があったことを伝えておく。連絡を入れるので、連絡先を教えてほしいと話す。

連絡先を伝えた場合、4時間ほど後に病院から連絡がある。
「院長からの伝言です。今から2時間後、○時に面会可能だそうです」
病院の職員曰く、院長が一度目覚めた際に探索者らのことを伝えたところ、面会の約束を取り付けられたらしい。
院長はその後、また仮眠に戻ってしまったようだ。

※備考
翻訳すると、2時間後まで寝ているので院長室に侵入するなら「今」!

この後、探索者らが約束の時間に院長(伊織の父親)の部屋に訪れた場合も、伊織の父親は眠っている。
ドジっ子おじさんなので約束の時間を2時間勘違いして目覚ましをセットしている。
午前と午後の数字の1の位をどうにかこうにか取り違えたらしい。


・伊織の友人だということを話す
「あらー、伊織君のお友達なのね!」
「今日は院長も非番だし、あと一、二時間もしないうちには起きるでしょうから、お部屋で待たせてもらったらどうー?」

伊織の友人だと分かった途端、とても友好的に接してくれる。病院で働く人たちの伊織への好感度は高い。可愛がられている。
伊織を経由する場合、伊織から受付へ連絡が届いている。その場合も同じく、伊織の父親の部屋へと誘導される。
部屋の場所さえ分かるのであれば、アポなし無断侵入も可。適宜技能を使用する。


※補足
伊織の父親は、警察に圧力をかけることが可能な政治家と懇意にしていたり、医療界の権威とコネがあったりする。




医院内、伊織の父親の部屋

病院の職員が部屋まで案内した場合、探索者を部屋まで案内して早々に立ち去る。

執務机とソファ、ファイルや書籍等がしまい込まれた棚がある。物はそう多くない、簡素な部屋である。
ソファに初老の男性が眠っている。探索者には、おそらくその男性が井上伊織の父親であることが分かる。
男性の目の下には隈がある。ひどく疲れているような様子で、ちょっとやそっとでは目覚めそうにない。
彼の近くには、小さな置時計が置かれている。

何もしなければ、置時計の目覚ましによって2時間後に起きる。起こせば起きる。




・小さな置時計
ごく普通の時計。2時間後に目覚ましが設定されている。

※補足
目覚ましの設定時間を3時間後以降にずらしたり、オフにしたりした場合、井上父は3時間後に目覚める。


◇ 執務机
引き出し付きの机。机の上には日記らしきものがある。
引き出しに鍵はかかっていない。引き出しの中には、ぽつんとひとつだけ鍵が入っている。

・日記
覚書のように単語だけがメモされている日が多い。
沙織の亡くなった日、伊織が事故に遭った日など、大きな事件のあった日は文章で記述されている様子である。

・沙織の亡くなった日
助からなかった。助けられなかった
うちの病院で処置したのに、できる手は全て尽くしたというのに


・伊織の事故に遭った日
沙織に引き続いて伊織までも! 否、否、こんなことが、認められるはずがない。認めるものか、私は諦めない。
沙織は、医術で助けることができなかった。これが医術の限界だというのか。
しかし、まだ手はあるはずだ。他のすべを施せば。
母よ、力を貸してくれ。



伊織に『仮初の命』を使用した。全身が気怠い。自身が魔術を行使した感覚が、確かにあった。
母の遺した本によれば、この魔術は西洋の〈復活〉魔術や、西行法師で有名な『反魂の秘術』を参考に「人の命の仕組み」を独自に解き明かし、 より手軽に行使できるようにしたものらしい。これで延命の効果が見込める。
ああ、助けることができたのだ。

すまない、沙織。
君の時にこれがあれば、私は君を助けられたのだろうか。
こんなことなら、もっと早くに。



魂の定着はできたが、身体の機能が回復しない。これでは伊織は、もって三日の命だろう。
助けられた、と思った矢先にこれだ。
どうすればいいのか、どうしたらよかったのか。私にはもう分からない。
『反魂の秘術』を参考にしているために、この術を用いていることは誰にも明かせない。誰かに相談することはできない。
開かずの間を探すか? しかし、父になんと説明すれば。うっかりでも口を滑らせたらおしまいだ。

私が何とかしなければ。
私が、何とか、
私が。
どうやって?

縋るように母の遺した本を開いた。



見つけた。〈精神転移〉という魔術。
母に、諦めるなと言われているような気がした。

伊織は望まないかもしれないな。
すまない、伊織。
しかし、君を失いたくない。

君が生まれてきてくれて、私はとても嬉しかった。
君の大人になるところを見届けたかったが、どうやらそれは難しそうだ。
これが私の唯一、伊織に対してできることだろう。


〈知識〉成功
『撰集抄』という説話集に掲載されている、西行法師の「反魂の秘術」にまつわる創作話を知っている。

・「西行於高野奥造人事」
高野山での修行生活中、人恋しさから鬼の法を真似た「反魂の秘術」を用い、人骨から人を造ったが、出来上がったものは顔色も悪く、意味不明のことを言うだけで、とても話し相手になどにはならない失敗作であった。

この術に関して一家言あるという、とある中納言は、この術の不完全さを指摘したのち、自身が何度もこの術を成功させていることを話す。
その際中納言は、術によって生を得た人の名は、自分の口からは明かせない、というようなことを述べている。口に出すと、自身もその人(名を明かされた、術によって生を得た人)も溶け失せてしまうというのだ。

知らなくても、〈図書館〉成功で同じ情報を調べることができる。

・探索者がこの話を知っているならば、
「反魂の秘術」を用いた対象の名を術者が明かせば、術者も対象も溶け失せてしまうということが分かるだろう。
日記で記述されている、自分からは明かせないという理由がそこにあることも理解するはずだ。

※補足
更に詳しい内容・正しい内容が気になる方は、ぐーぐる大先生に訊いてみるといいかと思います。
今回は、シナリオに組み込みやすいように手を加えています。


なお、この段階になっても仮眠室の井上父はかわらず寝息を立てており、伊織も元気にしている。
探索者は〈アイデア〉を試みることができる。

〈アイデア〉成功
探索者は日記を読み、伊織に術が行使されたことを知ったはずだ。しかし、術者であるはずの井上父は無事な様子である。
言霊、というものがある。言葉には霊的な力が宿るというものだが、その力は言葉を音として発した時に揮われる。祝詞、呪文などはその延長にあるものだろう。
『仮初の命』の行使については、「術者が口に出す」ことがトリガーなのであり、探索者は文字として読んだため平気だったのではないかという考えが思い浮かぶ。



※備考
伊織の父親への〈言いくるめ〉は罠。
西行って歌人だし、和歌は祝詞のようなものだからな(?)、なるほどな。




◇ 棚
鍵が掛かっている。中には幾多ものファイルと幾つかの本が並んでいる。

棚に〈目星〉成功
タイトルの書かれていない本があることに気付く。茶色いカバーで、随分と年季の入ったもののようだ。

※備考
この棚は〈鍵開け〉成功か、机の引き出し中にある鍵で開けることができる。


・ファイル類
医術の勉強に用いられたらしい資料や論文が綴じられている。ところどころに手書きのメモがされている。
患者の個人情報を扱うカルテなどは置いてない。


・茶色いカバーの本
年季の入った茶色いカバーの本。外国語で書かれている中、ところどころに日本語で注釈らしきものが書かれている。
本の裏表紙には、所有者を示すように、「井上タエ子」との文字が書かれている。
本には二つ折りにされたメモが一枚挟まれている。

注釈の筆跡に対して〈目星〉成功
筆跡は二種類ある(二人の異なる人物が注釈をつけている)ことに気付く。
筆跡のひとつはファイルに綴じられた書類に散見する筆跡に似ている。もうひとつの筆跡は、「井上タエ子」と書かれた文字に似ている。


この本は、古い表現のドイツ語で書かれている。独特な言い回し癖もあり、分かりづらいことだろう。 更には暗号が含まれているため、理解には〈母国語orほかの言語:ドイツ語〉成功の上、一年ほどかかりそうである。
なお、INT14以上の探索者には、これが医術書の形式をとった魔導書だということが分かる。


・挟まれていたメモ
メモを開くと、「仮初の命」と「仮初の命を持つもの」について書かれている。
また、呪文〈精神転移〉の情報が記載されている。


・「仮初の命」
死後24時間以内の魂を死の淵で彷徨わせることで、死者の肉体活動を可能とさせる。
肉体は活動可能な程度まで修復される。損傷が激しい場合は治りきらない。
有効期間は72時間。その後、魂の保たれなくなった肉体は、急速に腐敗し朽ち果てる。

・「仮初の命を持つもの」
仮初の命を持った者のそれは、偽りの生でしかなく、死者と同じである。
それでも、人の命であることに違いない。

・〈精神転移(MIND TRANSFER)〉p266
習得する場合、〈INT*3〉。本シナリオのセッション中であれば、習得の成否を問わず使用可能。


※補足
茶色いカバーの本は元々伊織の祖母の持ち物だった。ドイツと日本のハーフおばあちゃん。タエ子の母の実家が太い魔女魔術師系統の家。
挟まれていたメモは伊織の父が書いたもの。


井上聡

伊織の父親、井上医院の院長。目の下の隈は濃い。
寝起きは寝ぼけ眼でいて、探索者の姿に怪訝そうな顔をする。伊織の知り合いであることを告げれば、会話を試みることが可能だろう。

彼が寝不足なのは、長い時間手術室に籠り、遅くまで伊織の身体の縫合をしていたため。
「仮初の命」が肉体の自動修復を行ったとして、伊織の肉体は到底見られたものではない惨状だったのだ。とてもすごいがんばった。

警察上部にコネを持っているので、ちょっとした事件をもみ消す、沙織殺害犯と探索者との面会を秒速でセッティングする等も可能な人。
彼は沙織の死にひどく動揺し、伊織まで失うことを恐れている。
自分ではどうしようもできないと絶望しているので、探索者が協力を申し出れば喜んで受け入れる。探索者の行動にも協力的になる。
法よりも情で、大衆利益よりも自己都合で動いてしまう人間である。


伊織の父親と伊織の問題の件を相談する、死者蘇生や魔術の話題を出す
今の伊織の父親は心身ともに疲労しており、判断力が低下している。口を滑らせやすいお茶目ドジっ子おじさんである。
伊織の父親と伊織の問題の件を相談する際や、死者蘇生や魔術の話題を出す際、口頭で話してしまうと、伊織の父はその場で溶けていなくなる。伊織も溶けて消える。

伊織の父、あるいは、伊織が目の前で溶けて消える姿を見た探索者は
▶ 正気度喪失 1d4/1d10
そのままエンディングへ。

文面にした場合はセーフ。問題なく相談することができる。
文面で相談する際には、探索者の方から筆談を申し出たり、口に出さないことを伊織の父親に予め言い含めてやったりすると安心だろう。
伊織の父親が口を滑らせそうになった場面では、適宜〈幸運〉を振るなどして対応する。


伊織の「仮初の命」の正確なタイムリミットを確認する
伊織を助けようとしている探索者の問いであれば、隠さず偽りなく答える。
伊織の「仮初の命」は、魔術を行使してから72時間有効。 事故の日の24時頃に魔術を行使したため、事故の翌日(探索初日)を1日目として、3日目の24時がタイムリミットである。


※補足
文面なら死者蘇生の件を伝えられると把握した伊織の父は、探索者が特に強く口止めしないようなら、伊織に死者蘇生とタイムリミットの件を伝える。
伊織が自身の状況、及び、残り時間を把握していると、後の探索者の『藍の丸薬』に関する選択の相談に乗れるであろうし、伊織の口から残り時間を伝えることもできるだろう。


伊織からの電話

探索者が夜、就寝しようというところで伊織から電話が掛かってくる。
用件は今から少し話せないか、というものだ。
(以下の日数は、探索初日の夜に電話があった場合。適宜変更)

「食べた物が喉を通らないんで、おかしいなとは思っていたんだ」
「もう気付いてるんだろ?」

「――俺、死んでるんだって」

明るい声で伊織は告げる。

「不思議だよな。こんな風に今、話せてるのに」
「なんか、明後日で時間切れっぽいんだ。だから、あと二日と少し、変わらずよろしく! ……してくれるとうれしいな!」

伊織は笑おうとして、失敗したように顔をくしゃくしゃにする。
探索者は、残りの日をどう過ごすか考えること。


※備考
探索者を伊織の祖父の家に誘導すること。
既に探索箇所として候補に挙がっているなら問題ないが、挙がっていない場合は、祖父の家の空かずの間の話題を出す等。






▲上に

・伊織の祖父の家

この場所は、探索2日目、伊織の仮初の命のタイムリミットまで48時間を切った段階での探索を想定している。
もちろん、探索者の探索の様子によってはその限りではない。




伊織の祖父の家

古いが手入れされている様子の平屋。立派な門構えで、屋敷と称するのが似合う。


井上剛史

父方の祖父。数年前に心臓病で倒れたが、奇跡的な快復を見せた。今は元気元気!
ただ、同じ時期に倒れた妻(伊織の祖母・タエ子)が急に心臓麻痺で亡くなったのにショックを受けている。寂しそう。

・剛史が倒れた際の記憶
おぼろげな記憶の中、タエ子に青いものを口に含まされたのを覚えている。あれがあったからこそ、自分は今生きているような気がする。
目が覚めたら必ず礼を言おうと思っていたのに、自身が意識を取り戻したときにはもう、タエ子は剛史の傍で亡くなっていた。

※備考
昔心臓病だったけど、タエ子が『藍の丸薬』でなおしてくれたよ! そのかわりタエ子は死んだよ!!
タエ子が剛史にきちんとお薬を飲ませることができたのは、彼女の執念によるもの。




伊織の祖母・井上タエ子の部屋

タエ子の死後、開かずの間になっている。部屋の中は当時そのままに残っている。

広々とした和室。御香のような、独特の香りがする。
部屋の持ち主の趣味なのか、古びた日本人形らしきものと西洋人形らしきものが飾られている
部屋には本棚、文机、押入れがある。


◇ 押入れ
下の段に敷きオフトゥンが畳まれ仕舞われている。
押入れの天井に、屋根裏にいけるらしい小さな戸がついている。

◇ 屋根裏
丸みを帯びた古い壷を発見する。また、壷の下には覚書のような走り書きのメモがあった。
壷の中には、薬紙に包まれた刃渡り5cmほどの小さな刃物が収められている。柄を含めた全長はボールペンほどのサイズ。
また、透明な液体の入った親指大の小瓶が1本ある。元は複数小瓶が収められていたらしき形跡もある。

・走り書きのメモ
これぞ「スクモの刃」なり。この刃で「人魚の涙」を飲みし者の心の臓を刺した時、刃を手にし刺した者の罪業と命をもって『藍の丸薬』は成る。
『藍の丸薬』は死の淵を彷徨う者に生を与える。罪深きかな人の子よ。

・透明な液体の入った小瓶
小瓶は無色透明。液体も一見無色に見える、が、向こう側が透けることがない。『透明色』の液体だ。
▶ 正気度喪失 0/1

※補足
「すくも」は漢字にすると「藍玉」。藍の妙薬という駄洒落になっているような、いないような。
この液体「人魚の涙」は無臭。舐めるとしょっぱい。




・伊織の祖父から、タエ子に青いものを飲まされたという話を訊いている場合
タエ子は確かに『藍の丸薬』を用いたのだろうと確信できる。
同時に疑問が浮かぶ。
『藍の丸薬』を生成する際、「スクモの刃」を用いたもの、人魚の涙を飲んだ者、合計2名の死亡が必要なはずだ。
彼女が1人で『藍の丸薬』を生成できたのは何故だろう。

〈アイデア〉もしくはリアルアイデア 成功
タエ子が自身で人魚の涙を飲み、自分の心臓に「スクモの刃」を突き刺したのだろうと理解できる。




◇ 本棚
年季の入った本が並んでいる。外国語で書かれているものも少なくない。(ドイツ語、英語、ラテン語など)
ちらほらと和綴じの本もあるようで、それはどうやら手書きで書き記されている。

〈図書館〉成功で、物々しい雰囲気を醸し出す緋色の和綴じの本を見つける。
また、伊織の延命に使えそうな『藍の丸薬』について記述された、藍色の和綴じの本を見つけることができる。

成功するまで判定が可能。〈図書館〉失敗毎に作中時間を1時間経過させる。


・緋色の和綴じの本
どこからか転記されたらしい冒涜的な知識がつづられている。
全て読むには4時間程度かかる。

・〈平凡な見せかけ/仮面(POSE MUNDANE/MASK)〉p280
・〈支配(DOMINATE)〉p259
・〈精神交換(MIND EXCHANGE)〉p266

習得する場合、習得したい呪文各々に〈INT*3〉。
本シナリオのセッション中であれば、習得の成否を問わず使用可能。


※補足
交換状態の維持に関し、本シナリオにおいては以下裁定とする。
・例えばAがBと〈精神交換〉し、更にBがCと〈精神交換〉した場合、AはBの姿、BはCの姿、CはAの姿となる。
 この際、Aが精神交換を解除し、BがCとの精神交換を継続中であれば、Aは自身の姿でCの精神と同居する。Bの肉体は昏睡状態となる。
・〈精神交換〉を行使した状態で術者が死亡した場合、交換状態は維持されるものとする。(シナリオ中に類推材料がないため、PLが迷うようであればKPから補足してよい)


・藍色の和綴じの本
全て読むには、〈母国語:日本語〉成功のうえ3時間程度掛かる。判定に失敗した場合、3時間後に再度読むことを試みられる。
『藍の丸薬』について、小難しく書かれているが、概略としては以下の通りだ。

・妙薬『藍の丸薬』
『藍の丸薬』は死の淵を彷徨う者に生を与える。
(「死の淵を彷徨う者」は、「仮初の命」を持つ者、危篤状態の者、死後24時間以内の者などをいう。)
生を与える効果が有効なのは、丸薬が生成されてから1時間程度の時間である。

『藍の丸薬』には「スクモの刃」を用いた者の罪業と命が籠められる。
この時籠められる命は、『藍の丸薬』で与えられる生への対価であり、生を与える対象と同種族のものである必要がある。
人には人の、猫には猫の命が要される。

・「スクモの刃」
魔力を帯びた特殊な刃物。青き心臓を持つ者は、この刃に心臓を貫かれても傷つくことはない。
反対に、この刃を用いて青き心臓を貫いた者の命を奪い、妙薬『藍の丸薬』を生成する。
それ以外に用いる場合、魔力を纏っているだけの小さな刃物である。

・「人魚の涙」
無色に非ざる透明色の液体。飲むと青き心臓を持つ者となり、1時間程度で命を落とす。現在、小瓶の中にあるのは1回分。少量ならば効果はない。
青き心臓を持つ者が命を落とした際、時間経過は問わず、心臓は元の色に戻る。(その場合、1時間後に命を落とす効果は発揮されない)
(材料や調合方法についての記載はない。)

※補足
「死の淵を彷徨う者」は、「仮初の命」を持つ者、危篤状態の者、死後24時間以内の者などをいう。
「人魚の涙」を飲んだ者の、青い心臓の摘出・心臓移植を行うことで延命は可能。ただし、時間制限上現実的ではない(移植手術は通常5~6時間ほどかかる)。ドナーの問題もある。





「なあ、俺が生きるためには、誰かに死んでもらわないと……いや、誰かを殺さないといけないんだってさ」
「人が人を殺していい道理なんて、あるんだろうか」




ここまで情報が揃い、伊織の延命に誰かの命が犠牲になる必要があると判明すると、
伊織は、誰を犠牲にするかは貴方の手に委ねると告げる。伊織が「スクモの刃」を持っていれば、スクモの刃を探索者の手に渡す。

「お前が決めてくれるなら、その選択に後悔はないと思うから」
「もちろん、俺を見殺しにしてくれてもいい」
「……背負わせて、ごめん。けど、これが俺にとって一番いい選択のように思えるんだ」
「無理にとは言わないよ。俺が自分で選べっていうなら、そうするし」

探索者を信頼している様子で、毅然と、あるいはにかっと笑い、告げる。


・伊織は生きたいか
「聞くまでもないだろ、生きたいに決まってる。けど、それは誰かを殺していい理由にはならないだろ?」
「俺が生きたいのは俺の身勝手な都合でしかなくて、その都合のために誰かに死んでもらうって、正直めちゃくちゃ気が重い。自分が悪いことをしている気分になる。……いや、実際悪いことなんだろうな」


※補足
伊織が選ぶ場合、KPの任意で選択。ダイスで決めてもよい。





▲上に

・留置所

小林樹里の身柄は留置所にある。
探索3日目、伊織は小林樹里との面会を予定している。面会時間は20分間。

伊織のみに面会許可があるが、〈平凡な見せかけ〉の使用や、聡のコネによるねじ込み等で同行が可能。
もちろん警備員がいるため、怪しい行動をとる場合、その目をごまかす必要がある。


・面会する場合
窓口で所定の申込用紙を記入の上、身分証明書を提示し、面会の手続きを行った後、面会室へと移動する。

・その他の方法で接触する場合
聡から、診察の名目で彼女と接触することにし、そこに同行する。
小林樹里の担当弁護士に交渉し、接見させる。 など

・面会室への侵入を試みる場合
アクリル板と鉄枠の仕切りを外す。
留置施設出入口から留置所側に侵入する。 など


◇ 小林樹里
「私にはわからない」
「何故人を殺してはいけないのか、その理由がわからなかった」
「貴方にはそれが分かるの?」
基本的に彼女は他者の説明に否定的な姿勢であり、納得しない。自分自身のケースとして確かめることに固執する。




▲上に

7.『藍の丸薬』

伊織が人魚の涙を飲んで1時間後か、命のタイムリミット(4日目24時)が来れば、伊織は死亡する。
探索者は、誰が「人魚の涙」を飲み、誰が「スクモの刃」を伊織の心臓に突き刺すのかを決める。

「殺してもいい人間」として、真っ先に思い浮かびやすいであろうのが、伊織の姉を殺した犯人・樹里だ。だが、彼女の身柄は留置所にある。
・留置所』に記載の情報も参照。


◇ 小林樹里
「私にはわからない」
「何故人を殺してはいけないのか、その理由がわからなかった」
「もしわかるのであれば何をしてもいい。この命をかけてもいい」

・小林樹里を騙して刺させる、あるいは説得して刺させる
探索者が「この刃物で刺せば理由は分かる」等と主張すれば自動成功。その他の理由なら、〈言いくるめ〉あるいは〈説得〉に成功すること。


◇ 井上聡
伊織を助けるためとあらば、積極的に〈精神転移〉を使用しようとする。
また、喜んで刺す役や人魚の涙を飲む役を引き受ける。命を差し出す覚悟はとっくにしている。 伊織がどれだけ嫌がろうとも、井上聡は彼自身のエゴをもって完遂しようとする。
時間が迫っていれば、彼は通りがかった人間を犠牲にすることすら、ためらいはしないだろう。
伊織の姿が変わることを気にして、〈精神転移〉よりも『藍の丸薬』を優先的に使用しようとする。


◇ その他、自殺志願者など




伊織以外が「人魚の涙」を飲む

「人魚の涙」を飲んだ者は、心臓が青く染まり、1時間後に眠るようにして息を引き取る。
1時間が経過するまでに、飲んだ者が死亡するような目に遭えば、その時点で死亡する。
飲んだ者が死亡した時点で、「人魚の涙」は効果を失い、心臓の色は元に戻る。


伊織以外が「スクモの刃」を刺す

「スクモの刃」を刺した者は、その瞬間その場で倒れる。
目に光はなく、息をしていない。脈はない。生命活動を停止――死んだのだ。
刺さっていた刃は、ずるりとひとりでに抜け、床へと落ちる。
――べちゃり、と。 するはずのない水音がする。床に転がる刃に視線を向ければ、そこには、未だ脈打つ青い心臓が刺さっていた。
人の死と剥き出しの青い心臓。非日常で非常識な光景を見た探索者は
▶ 正気度喪失  1d2/1d6

どくん。
青い心臓が一際大きく脈動すると、それは空気の抜けた風船のように急速に萎みだし、小指の爪ほどの大きさの丸い粒になった。

・『藍の丸薬』
深い青の色をした丸薬。
手に取ればなぜか生ぬるい温度で、いまだに脈動を感じる。その小さなサイズに見合わぬ、妙な存在感がある。



伊織自身が「人魚の涙」を飲み、「スクモの刃」を刺す

途端、伊織の身はその場で崩れ落ちた。光を失った目をして、ぴくりとも動かない。
刺さっていた刃は、ずるりとひとりでに抜け、床へと落ちる。
――べちゃり、と。 するはずのない水音がする。床に転がる刃に視線を向ければ、そこには、未だ脈打つ青い心臓が刺さっていた。
人の死と剥き出しの青い心臓。非日常で非常識な光景を見た探索者は
▶ 正気度喪失  1d2/1d6

どくん。
青い心臓が一際大きく脈動すると、それは空気の抜けた風船のように急速に萎みだし、小指の爪ほどの大きさの丸い粒になった。


探索者の手で『藍の丸薬』を伊織の口に押し込めば、心臓が再び鼓動をならしはじめ、肌に血色が戻り、息を吹き返す。
伊織はゆっくりと目を開く。探索者の顔を見て、戸惑いと、驚きと、それ以上の喜びに目を輝かせる。

「お前を信じてよかった」
感無量といった様子で、伊織は探索者の手を取り、産まれたばかりの赤子のように泣きじゃくる。









▲上に

エンディング

死んでもいい人間はいるのだろうか
殺してもいい人間はいるのだろうか

貴方の心の所在は今見つかった


このシナリオは伊織の処遇が決定したところでエンディングを迎える。




ENDI:藍は青より出でて


・『藍の丸薬』を使用する
・伊織が「スクモの刃」を用いる。「人魚の涙」を飲み、自分で自分の心臓を刺す。
── 「信じてよかった」

伊織にとって、自身に生きる意味があるのかは未だに分からない。ただ、今この時が幸いだと、生きていてよかったと思う。
伊織はこれから、その意味を自身に問うことになる。その意味を見出すために生きようとする。



END1:藍の諸罪


・『藍の丸薬』を使用する
―― 「殺してもいい人間? いるぜぇ!」

要は、伊織の延命のために誰かが「人魚の涙」を飲んだり、「スクモの刃」を刺したりした場合。
「スクモの刃」を刺した者は即座に、「人魚の涙」を飲んだ者は飲んで1時間後に死亡する。

「そうか。俺は誰かを踏みにじって、何かを犠牲にして、そうして生きてきたのか」
「そしてこれからも――」
「そうか…」
苦しげな表情で、あふれる涙が零れぬように、上を向き、疲れたように、息を吐く。
「そうか…」


死亡者が○○の場合、の話


・探索者自身
・伊織の身内
犠牲になったものの命を無駄にしないために、伊織は精一杯生きるだろう

・沙織を殺害した犯人、小林樹里
「自分のために、犯人は死んだ。それは分かってる」
「それなのに、何故だろう。感謝の念も、罪悪感みたいなものも、全く感じられないんだ」
これでは犯人と同じかもしれないと、複雑そうな表情をしながらも、伊織はその結果を受け容れ、生きていくだろう。

・自殺志願者
・その他、無関係の人
伊織は、自身の命が何らかの犠牲の上に成り立っていることを理解し、自身が生きることの罪深さを常々感じながら生きるだろう。


もし、探索者が誰かを騙して「スクモの刃」を刺す役をさせるようであれば、探索者は探索者自身の決意を持ってその人を殺したのだ、ということの描写を強調して、正気度喪失を行なっても良い。




END2:Iの所在


・『藍の丸薬』を使用しない
・〈精神転移〉〈精神交換〉を使用する

伊織に精神転移した者、伊織と精神交換した者は死亡する。
死亡者については、END1の「死亡者が○○の場合、の話」を参照。




END3-A:哀の所在


・伊織が死亡する
―― 「死者は死者に」

・何らかの形で伊織が死亡する。
人魚の涙を飲んで一時間経つ。タイムリミットを迎える。など。

「お前に任せて正解だったよ」と伊織は笑って探索者の目の前でこと切れる。
伊織が目の前で死ぬ姿を見るのは二度目だ。そして、もう見ることはない。
伊織は永遠の眠りについた。




END3-B:人恋し、藍はなし


・伊織の父親と伊織が溶解消滅する
―― 「取り戻せるものはない」

伊織の父が口を滑らせ、行使した「仮初の命」の魔術の話を第三者にしてしまう。

伊織の父と伊織は行方不明者として捜索されているが、結果は芳しくない。
当たり前だ、あの二人はもうどこにもいないのだから。




END-EX:藍の処才

記載以外の方法で伊織を延命した。







▲上に

.クリア報酬

・最後まで遊んだ
1d4の正気度回復

・犠牲を払わず伊織を生かした(伊織自身が刺す)
1d4+2の正気度回復

・スクモの刃
アーティファクト。魔力を帯びている。データ的には、魔力を帯びたナイフ扱いとする。物理的に干渉できない対象に、攻撃を加えることができる。

※補足
本シナリオに登場する呪文は、適宜増やしたり削ったりしてよい。
また、KPが否と判断するのであれば、呪文は本セッション中のみ使用可能とし、習得を不可としてもよい。




▲上に

あとがき

「理不尽な死」をテーマにしたシナリオです。
さて、探索者は何かのために誰かを死なせることを肯定したでしょうか。

いつもは作らない哲学じみた要素の入った話になりました。なんだか笑い飛ばしづらいものになってしまったかもしれません。
探索者に殺人教唆をするようなシナリオではなく、犠牲を払うことを強要するシナリオでもありませんが、 お好みによってはそんな展開もあっていいのかなと思っています。テストプレイの際には、PLさんは樹里への殺意一直線でした。こわい。

元はいおりんパパに手術室を借りて胸を切り拓いて心臓を収穫してそれを食べさせるような感じだったんですが、手間がかかるので、お手軽に刺しにいくスタイルとなりました。多少マイルドになったかな。

PL人数は1名向けで作ったシナリオですが、伊織の事故イベントあたりを調整すれば複数人でも遊べると思います。
事故目撃者は気絶、目撃していない人は気絶した探索者の回収に警察から連絡を受けるだとかなんとかで。


それでは。ここまで目を通してくださり、ありがとうございました!




▲上に







▽2024/08/02 シナリオ改訂
2020/08/24 『藍の丸薬』処理追記、タイムリミット変更
2020/02/01 KP概要ミス修正
2020/01/20 up

WaKaMuRa
https://jxsnwk.github.io/wakamura/